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乾杯は【伊丹の酒】で!

第11回 顔の見える病診連携で医師不足を補いたい

伊丹市医師会会長 原弘さん

前回登場の荘司幸子さんから紹介されたのは、今年4月伊丹市医師会会長に就任された、原内科院長の原弘さん。大の阪神ファンでゴルフはシングルの腕前の原さんは、なぎなたの普及にも力を注いでいます。

インターン制度に反発して国家試験をボイコット

「荘司幸子さんの義理の母と、私の義理の父が兄弟でね、私たちは養女と養子で血はつながっていませんが、従兄に当たるんです」
「荘司幸子さんの義理の母と、私の義理の父が兄弟でね、私たちは養女と養子で血はつながっていませんが、従兄に当たるんです」

――原さんのお生まれは、どちらですか?


出身は池田なんですが、軍医として戦争に行った父が戦死して、母の実家の徳島で育ちました。小学校5年の時、母は伊丹の外科医と再婚しましたが、私は徳島に残って祖父母と暮らしていたんです。親戚はほとんどが医者でね、他の職業のことをあまり知らなかったから、私も医者を目指して徳島大学医学部に入りました。当時はインターン制度というのがあって、医大を卒業して1年間、大学などで臨床実習を積まなければ、国家試験は受けられなかった。その間は無資格でただ働きですから、全国の医大生が運動して、春の医師国家試験をボイコットしたんですよ。昭和41年のことです。


「日本の人口10万人当たりの医師数は200人で、先進諸国の6割程度の少なさ。でも、他国に負けない医療水準を保ってがんばっています」
「日本の人口10万人当たりの医師数は200人で、先進諸国の6割程度の少なさ。でも、他国に負けない医療水準を保ってがんばっています」

――学生運動が、最も盛んな時代ですね。


ボイコットしたものの、医師の資格がないから医療行為は行えないという現実に直面して、ほとんどの学生が秋の国家試験を受けることにしたんです。そうしたら、後輩が「裏切り者!」と怒って受験を阻止するためにバリケードを張ってね、我々はかつて敵対していた機動隊に守られながら(笑)、試験会場に入りました。同じことが3年ほど繰り返されましたが、その甲斐あってインターン制度は、昭和43年に廃止されたんです。


――そうだったんですか。国家試験合格後は、どちらに?


神戸大学の医局に入って博士号を取り、豊岡の日高病院に2年勤めました。伊丹の父に呼ばれて、原外科の隣に内科の診療所を開いたのが、昭和52年で37歳の時です。父は間もなく体を悪くしたので、一緒に仕事ができたのは、わずか4年ぐらいでしたね。


手に汗にぎりながら監督の気持ちで、野球観戦

「内科の診療所は、何かあった時のかかりつけ医として、患者さんの生活スタイルや家族構成を把握しておくことが理想ですね。そのためには、患者さんとの信頼関係が大切なわけです」
「内科の診療所は、何かあった時のかかりつけ医として、患者さんの生活スタイルや家族構成を把握しておくことが理想ですね。そのためには、患者さんとの信頼関係が大切なわけです」

――原さんは、お酒の方はいかがですか?


あまり、飲めないんですよ。だから、コミュニケーションは、もっぱらゴルフです。伊丹に来て、医師会の役員を引き受けて、良いゴルフ仲間ができました。私は、ついムキになってしまうタイプなので、トイレに入っては考え、布団に入っては考え(笑)、ハンディは最高で8まで行ったんですよ。


――シングルですか! 学生の時はどんなスポーツを?


野球部で、キャッチャーをしていました。プロ野球は阪神が好きで、テレビ中継を見る時は、つい監督の気持ちになって手に汗をかいたり、顔が引きつったりしていますね(笑)。とにかく勝負ごとが大好きで、戦国時代の歴史ものも大変興味があります。偉い大将が戦いに勝つ秘訣はどこにあるのか、考えるだけでゾクゾクしますよ。いつか時間が出来たら、もっと歴史を調べてみたいと思っています。


スポーツセンターで開催の「なぎなた甲子園」を応援

「伊丹には、日本三大私設道場の一つ「修武館」があります。江戸時代に小西家によって創設され、現在はなぎなたの拠点となっているんですよ」
「伊丹には、日本三大私設道場の一つ「修武館」があります。江戸時代に小西家によって創設され、現在はなぎなたの拠点となっているんですよ」

――ところで、全国的に医師不足が問題になっていますが。



確かに医師の数は足りません。けれど、急に増やすことは難しい。医師不足を補うためには、開業医と病院の勤務医の連携が必要なんです。地域の診療所が、患者さんを診て「何かおかしい。専門的な処置が必要かも」と感じたら、すぐに病院に連絡を取って患者さんの病気に対し、適切な医療をしなければなりません。そのため常日ごろから、開業医と病院勤務医は、顔の見える関係、「病診連携」の推進に向かって努力しています。伊丹市医師会ではその1つとして、勉強会や講演会を企画して親睦を深める機会を作っています。また、医療だけでなく、保健、介護の面でも、市立伊丹病院、近畿中央病院と連携を密にして、伊丹市民のために、医師会はがんばっていく覚悟です。



――ぜひよろしくお願いします。われわれ市民は、伊丹の医療を守るために何をすべきでしょう?



一番大切なのは、医療提供者と医療を受ける市民の皆さんとが、協力し合って良い医療を守ることだと思っています。市民の皆さんが、ご自分の健康に関心を持っていただき、定期的に健康診断を受け、また、健康に関する講習などにも積極的に参加し、情報を得ていただくことですね。正しい知識を身につけ、その上でからだに異常を感じた時は、まずかかりつけ医に相談し、専門的判断を受けるのが大事なことです。



――最後に、これからの伊丹について、提案がありましたらお聞かせください。



そうですね。まずは、学校教育に力を入れてほしい。財政事情が厳しいと、教育に回すお金を後回しにしがちですが、綺麗な学校で、心温まる教育を受けた生徒は、必ずや故郷伊丹、いや日本を支える立派な成人となってくれると思います。その1つとして、武道の持つ自主、礼節の精神は、現代社会においては、とっても大切なことではないでしょうか。幸いなことに、伊丹は古くから「なぎなた」のメッカで、伊丹みたいな小さな市に、全日本なぎなた連盟の事務局があるんです。勝ち負けだけでなく、礼譲や信義を重んじる「なぎなた」は、すばらしいスポーツです。2年前から毎年、スポーツセンターで全国高等学校なぎなた選抜大会「なぎなた甲子園」が開催されていますが、今後もさらに「なぎなた」にスポットを当てて、普及させていただきたいと思います。私も応援していきますよ。

原弘さんからのお友達紹介

「伊丹市の保健衛生推進連合会で活躍されている山本泰通さんを紹介します。新型インフルエンザなどの不安がありますが、いざというときには市民のために動いてくださる方ですよ」
小西新太郎さん→石川道子さん→善見壽男さん→古田孝雄さん→武内重治さん→久保武久さん→岩城敏之さん→大森英夫さん→加藤拓さん→荘司幸子さん→原弘さん→山本泰通さん