男と女の「おかしな!?」ハナシ
あなたの身の回りにも時々起こる、
「これってどうなの?」
「おかしくない?」という話。
このコーナーでは、毎回、
「男と女のちょっとおかしな!?ハナシ」を、つぶやいてもらいます。
「働く女性」「働かない?女性」
今回のつぶやき主は、近所のスーパーでパートをしている
主婦のケイコさん。
新聞でふと目にした「働く女性のための~」という言葉が気にかかり、
職場で同僚のマリさんと話をしています。
ケイコ:ねぇ、「働く女性」って言葉、どう思う?
マリ :はぁ?「仕事をしている女の人」っていうだけで、別に何とも思わないけど・・・。
ケイコ:例えば「働く女性のための時間管理術」とか
「働く女性のための簡単料理」とかよく言うでしょ。
今朝の新聞でそんな見出しを見て、ふと
「私って働く女性って言えるのかなぁ?」って思っちゃったのよ。
マリ :そりゃ、パートと言えども、給料をもらう仕事をしてる以上「働く女性」でしょ。
ケイコ: じゃあ私が完全に専業主婦だったら「働かない女性」っていうことになるのかぁ。
マリ : 中には「働けない」っていう人もいるだろうけどね。
ケイコ:そっかぁ。
それにしても、家事は一生懸命やっても、お給料をもらわないから
「仕事」とはみなされないって訳ね。
マリ :う~ん、家事って目に見えないことも多くて結構重労働だから、
そう言われちゃうとパートの「主婦」としては、ちょっとムカつくけどね。
ケイコ:でしょ~。
マリ :実はウチの夫ね、勤めていた会社が倒産してこの3ヶ月、毎日ずっと家にいるの。
ケイコ:えっ?そうだったの!それは大変。
だったら今は、家事は彼がやってくれているの?
マリ :私がパートに行く日は少しだけね。
さっきの話だと今の彼は「働かない男性」っていうことかぁ。
あれ?だけど逆に「働く男性」ってあんまり言わないわよね。
◆ケイコのつぶやき・・・
女医とは言うけれど男医とは言わないし、女流棋士とは言うけれど男流棋士とは呼ばない。
女子アナとは言っても男子アナとはわざわざ言わない。
・・・こうやって考えていくと、男も女も働くのが当たり前になった時にようやく「働く女性」なんて言葉がなくなるんだろうな。
◆マリのつぶやき・・・
これまで深く考えてみたことはなかったけれど、パートをしながら家でも掃除・洗濯・炊事・子育て・PTAの役員・ボランティア・・・結構ヘトヘトになるまで頑張っても、これは「仕事」ではないって言われたら、何だかちょっと悔しいなぁ。
◆マリの夫・ヨシヤのつぶやき・・・
まさか自分の会社がつぶれるなんて思ってもいなかったから正直、戸惑ったよ。でも失業してもっと戸惑ったことも色々あるよな。
働き盛りの年齢の男が昼間に家にいるというのは、思った以上に肩身が狭いんだ。
買い物に行く時も、何となく知り合いに出会わないように気を遣うし。
やっぱりオレの中にも「男は仕事に行くもの」という意識があるからだろうな。
【ミニ知識】
家事関連時間は、男性は42 分、女性は3時間35 分と男女の間に依然として大きな差が見られる。
年齢別にみると、男性は65~84 歳で1時間以上と長くなっている。
一方、女性は30~74歳で4時間以上と長く、特に35~39歳で4時間54分と最も長くなっている。
家事関連時間を男女別に平成18年と比べると、男性は4分の増加,女性は横ばいとなっている。男女、年齢階級別にみると、男性は 70~79 歳を除く全ての年齢階級で増加となっている。一方、女性は15~54 歳でおおむね減少し、30~34 歳及び50~54 歳で15 分以上と減少幅が大きくなっている。
横からちょっと言わせて
専業主婦もパートも経験した
関西学院大学人間福祉学部教授
今井小の実さん
大学卒業後、一般企業に就職、結婚・出産を経て専業主婦になり、その後、子どもがまだ小さなうちからパート勤めもしてきた私には、マリさん、ケイコさんの会話の状況や背景がとてもよくわかります。
また身体をこわして一時、「仕事」の一線から退いていた夫を私自身がみてきたこともあって、マリさんの夫の心情も理解できます。
その私の結論は、家族の生活を支える「仕事」(いわゆる賃金労働)も「生活」(家事・育児)のどちらの領域も、男女ともに担うことが大切だということです。
夫がゆっくり休養できたのは当時、私が職を得て経済的な余裕があったからであり、それはマリさんの夫も同じでしょう。
一方で、パートもしているマリさんが家事・育児のみならず、地域や社会的な活動も担い二重の負担を強いられている、それは見方を変えれば男性の方がより「仕事」に拘束され、そのような生活の場面に参加する機会を奪われてきた結果だともいえます。
このように考えてみると、「働く女」「働かない?女」の違和感の解消は、男女ともに「仕事」も「生活」もどちらの領域にも調和よく参加できる、ワークライフバランスのとれた社会の実現によってもたらされるのではないでしょうか。
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