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男と女の「おかしな!?」ハナシ

授業中にも刷り込みが!?

あなたの身の回りにも時々起こる

「これってどうなの?」「おかしくない?」という話。

このコーナーでは、毎回、「男と女のちょっとおかしな!?ハナシ」を、つぶやいてもらいます。

授業中にも刷り込みが!?

今回のつぶやき主はレイコさん。

夫のカツヒロさんに、小学校6年生の授業参観に行った話をしています。

レイコ : 今日、ジュンの授業参観に行ってきたんだけどさ。       

 

カツヒロ: 今回もレイコに仕事を休んでもらって、申し訳ない。社会科だったよな。

 

レイコ : 高度経済成長がテーマだったんだけど、最後に給料の話になったの。

 ジュンの担任の先生、いつも子どもたちに考えさせるじゃない。

 今日も「どうして男女には給料の差があると思う?」って質問されたのよ。

 

カツヒロ: ウチは、オレよりもレイコの方が給料高いけどな(笑)。
 で、子どもたちは何て答えたの?

 

レイコ : 「ウチのお母さんもだけど、女の人はパートで短い時間しか働いてないから~」

 「女の人の仕事は、楽で簡単なことが多いから~」って、口々に。

 そこでチャイムが鳴ったの。まさか、これで終わりじゃないとは思うんだけど。

カツヒロ: レイコが気になっているのは、「女の人は、短時間労働で簡単な仕事だから給料が安いです」って子どもたちに刷り込んだ形になるんじゃないかと思ったからでしょ?

 

レイコ : そうなのよ。「女の働きは安い」って、授業で無意識に植え付けてしまっているとしたら、怖くない?

◆レイコのつぶやき・・・

もう一つ驚いたのは、親の仕事内容をそんなに知らないだろう子どもたちが、「女の人は簡単な仕事しか」って口にしたこと。

家で母親がそう言っているのか、テレビやネットとかの情報からか・・・。

これまで何も考えていなかった子にも、「女の仕事は簡単」イメージを植え付けているようで、ドキッとしたんだけど。

先生には次の授業で「おかしいと思う?どうしたらいい?みんなはどうなりたい?」って聞いて欲しいな。 

 

◆カツヒロのつぶやき・・・

「これが普通」とか「当然こんなもの」っていう考え方に流されないように、先生ひとり一人が気づくように、学校にはお願いしたいな。

でも、そんな風に思っている自分も、実は会社に「子どもの授業参観で有休を取りたい」って言えなかった。

「参観日はお母さんが行くもの」っていう「普通」に加担したようで、正直気まずく感じているんだ。

ミニ知識

 

ノーベル経済学賞のゴールディン氏「日本は改革の余地が」

 

労働市場の男女格差の研究で2023年ノーベル経済学賞を受賞したハーバード大学教授のクラウディア・ゴールディン氏。

彼女は日本についても、度々以下のように言及をしています。

●日本の女性の就業率がこの10~15年で大幅に上昇したのは驚くこと。

(25~54歳の日本の女性の就業率は83%、米国は78%)

しかし、短期的で簡単な仕事に就いており、改革の余地がある。

●日本の父親の育児休業のしくみは、収入保障が手厚い優れた施策。

しかし、取得率は14%以下で世界的に見ても低く、利用が進まないのは社会の変化に職場が追い付いていないから。

●出生率の改善には、現役世代の考え方を支配している年配者の再教育も必要。

横からちょっと言わせて

弁護士で、不惑を越えてからの子育てに奮闘中の中村衣里さん

情報が人に与えるインパクト(影響)を考えたとき、情報を出す側の意図、時期、内容だけでなく、受け取る側の属性、置かれた環境、能力など、その掛け合わせにより、白にも黒にも、0にも100にも、その中間を含め、様々に変わり得ます。

同じ内容を持つ「情報A」であってもそれが持つ意味合い、評価は、何通りにも考えられそうです。

今回のような学校現場で、これから様々な事がらを体験し、柔らかな頭で考えて行く子どもたちに対し、先生という立場の人が「教える」「伝える」情報は、子どもたちにとってはそれらを無条件に受け入れていきやすい環境であるからこそ、特に意識をして、多様な選択肢、可能性を与えてもらいたいと思います。

さて、「どうして男女には給料の差があると思う?」

このようなテーマが小学校の授業で取り上げられることは、ひと昔前では(少なくとも私が教育を受けた昭和の時代には!)考えられないことでした。

その意味で、社会の大きな変化、ジェンダー平等に向けて社会全体が前進していることを感じます。

しかし、限られた時間内に皆で話し合い、議論を深めるテーマとしては、たとえば大学生であっても難しいテーマです。

こうしたテーマをせっかく取り上げるのであれば、ぜひ、ジェンダー平等に向け、学校現場の先生方には、大きな覚悟を持って、子どもたちの発言に耳を傾け、必要なコメント(指摘)をして、話を深めていただきたいと思います。  

『女の人は短い時間しか働いていないよ?』との子どもの発言には、どのようなコメントができるでしょうか?

たとえば先生は、「パートではなく正社員で長い時間働きたいのにそうした仕事になかなか就けない女の人がいるよ。なぜそうなってしまうと思う?」と、女性が置かれた現実の問題を指摘しながら、その背景に、女の人は結婚や出産をしたら、家の中で家事や育児に専念すべきだという意識が、男性だけでなく女性自身にも植え付けられているという「性別役割分担(意識)」が存在していること。

小さな子どもを預ける先がないという保育環境の問題。

女性は働きすぎないほうが、配偶者控除等の税法上の優遇や社会保障上の優遇がある等、日本の社会システム自体が女性の働き方、可能性を狭めている事実。

こうした背景事情や問題点を説明できるかもしれません。

また、『女の人は楽で簡単な仕事しかしないよ』との子どもの発言があれば、「本当に女の人たちが担っている仕事は、楽で簡単なのかな」と指摘をしながら、たとえば女性の割合が高い、保育や介護等ケア現場を取り上げ、こうした仕事は、体力的にも非常にハードであること。

他人の命を預かるところであり、医療や福祉等含め様々な知識を要し、また思いやりや共感力も要求され細やかな配慮が必要となること。

このように総合力を要する大変な仕事であるにもかかわらず、なぜかこれらのケア分野は「低賃金」となっていること。

その背景としては、もともとケア分野は「家庭」で、「女性たち」によって担われていたという意識が低賃金のままにすることを許しているのではないか、といった問題意識も指摘ができると思います。

また、『女性と男性の平均賃金を比べたときに女性のほうが統計的な数字を見ても少ないという事実が一向に改善されない』という点を指摘しながら、日本における企業内の役員や管理職割合のアンバランスさ、さらには法律をつくる国会等の議員割合に占める女性の少なさ等、海外とも比較しながら、様々な場所で意思決定ができる立場に圧倒的に女性が少ない事実も関連づけて示したいところです。

その背景にもやはり、家庭責任における女性の負担等があることを改めて指摘できるかもしれません。

このように女性たちの収入が低く抑えられている背景としては、「社会の仕組み」「人々の意識」が深くかかわっていることを、ぜひ、「具体的な制度・しくみ」の持つおかしさ、問題点を示しながら関連づけてお話をしてもらいたいと思います。

特に子どもたちに対しジェンダーに関する問題を伝えるときに、「意識」のおかしさというそれ自体は優先して改善すべきだけれども、一方で抽象的すぎる事柄を言うよりは、現実に、目の前にある「具体的な制度・しくみ」のおかしさをまずは端的に示したほうが、ストンと腑に落ちるようにも思います。

たとえば、弁護士として離婚問題を多く扱っていると、「自分に経済的自立があれば・・結婚のときに夫から求められて(もしくは希望して)専業主婦になってしまったけれど、あのときの仕事を続けていれば、悩むことなく離婚に踏み出せるのに」とおっしゃる女性たちがいかに多いかとも感じるところです。

子どもたちが将来の自分のこととして、また社会全体の問題として、経済的自立やジェンダーによる収入格差の問題を、日々、学校生活等を通して小さな頃から繰り返し考えることは、女の子にとっても、男の子にとっても、自分の足で立って考え、生活をしていく大人となるうえで非常に大切だと思います。

「女の人だからという理由だけでお給料が少ないとしたら、それで君たちはいいと思う?」

「あなたのお母さんのお給料がそんなに少なくて、本当にそれでいいと思う?」

「じゃあ、この続きは、また次の時間に考えていきましょう!お楽しみに!!」

・・そう言って、先生にはその日の授業を締めくくってもらいたいですね。


 

原稿担当 : NPO法人 あなたらしくをサポート(愛称:らしーく)
イラスト : 林やよい

 

※このイラストを利用されたい場合は「NPO法人あなたらしくをサポート」nporasiku@gmail.com までご連絡ください。

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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